マケモ島を出る時、風が強くて心配だったのです。
私たちだけだったら天候を見て出航の判断をするのですが、友人コリンヌがマルキーズからパペーテ行きの飛行機に乗らなくてはいけなくて、急げ!ということで選択の余地もなく、出航。
出発して、しばらくしたところで、フィリップが、「メインセールを出そう」と。
え?こんなに風が強いのに?と疑問を持った私。どうもニコラも同じように思ったらしいのだけれど、彼には経験があるし、ここは任せてみるかな、と、セールを出したのです。
当然のごとく、強風で船が傾く。「ジブセール(前方の帆)も出そう」と、彼の言うようにしたのです。
あまりの風の強さにオートパイロットがうまく作動せず。なんとか持ち堪えるかな?というところで、操作不能になり故障してしまいました。トホホ。
出発したばかりなのに。このまま手動で舵を取ることになるわけです。またか〜。😫
強風ってことは、当然のごとく海は大荒れ。船も半端なく揺れるし、コリンヌもネリーも船酔い状態でベッドに横になったまま。
船の中に、キャプテンは2人も要らない…んですよね。
キャプテンであるニコラがいつものように判断すべきでした。
フィリップって、体が大きなこともあって、どんなものでも力任せにグイッと壊してしまうタイプ。「あ…壊れちゃった。」それがやたらと多い。
砂だらけの靴で船内に入ることを普通にやってのけるし、ディンギーも彼の巨体で傷だらけ。
彼の船が大変な事故にあってしまったのも、今思うと納得。
一方、ニコラはどんなものにも気をつけて、無理がないように、ビスやネジ一つの締め方でも適度な締め具合がわかっていたり(元メカニックです)、いかに物にダメージを与えないようにするか、その扱いが慎重なのです。まさに正反対。
にわかキャプテンの指示で、2日目にしてジブセールも、一部破損。
どうしてくれるよぅ〜!😭
さて。
大人5人。本来だったら、交代で舵を取るでしょう?
ところが…。
私を除く女性陣は、早々にベッドへ。まぁ、仕方がない。
ポリネシアに来る前に電話で「船のこと、手伝うから〜」と、頼りにしていたフィリップは、腰が痛いと言い出して、ベッドへ。出航して2日経った頃から、なぜか交代に来てくれたけれど、きっちり交代の時間のみ。後で思うと、仮病らしい。
サロン中央のソファーで寝っ転がっているときは、彼女に仕事をしているんだと思わせて部屋のドアを閉めて、彼の当番の後は部屋に入って、「あぁ,こんなに長時間も疲れた〜」ってどうやら言っているようです。長時間、部屋にいないんだから、彼女も同情するわけですよね、きっと。
そんな訳で、ニコラと私が主に交代で舵を取るわけです。
食事の支度は?
マケモにいた時に1人ずつに食事を作ってもらってよかった〜!🤩私、大正解!
でも…。食事の時間になっても、誰1人も動こうとせず、ベッドに横になったままなのです。
ひどい時は、1日22時間くらい、部屋に入ったまま。新生児か?
私は舵取りに必死なのと、もちろん貴重な睡眠時間も必要なので、キッチンにはあまり立ちたくない。
腹が減っては戦ができぬということで、朝食をニコラと2人分用意しようと用意していたら、出来上がるタイミングで彼らが登場するという…。
最初の頃は、誰の食事にも手をつけず(誰も動かないので)、自分の作ったスープを作っておくことに。やっぱり、寝ていた人たちがやってきて、後から食事をするパターン。
船が揺れる時に、具沢山のスープは便利なのです。すぐに食べられるし。ボウル一つで済むし。
何日か経って、ネリーがカルボナーラ、いや、ベーコンとキノコのカレークリームパスタを作ってくれたのだけれど。うーーーん、重いよね。一同、あまり食欲出ず。😑
船が揺れるから、ということにしておきます。🤣
コリンヌの作ったレンズ豆の煮込みは、贅沢にもベーコンがゴロゴロ入っていて…。
タヒチのカルフールのBIOコーナーで買った キャビアを連想させる「ベルーガ」という種類の黒くて小さなレンズ豆を使ったのだけれど(普通のレンズ豆の何倍もの値段がする)、まぁ、普通の味。なんでベルーガを選んだのかは謎。
レンズ豆の煮込みもボウル一つで食べられて、航海中には便利な料理ではあります。
誰も料理の支度をしないと、私はご飯を炊くのです。炊飯器万歳!
ご飯さえあれば、おにぎりだって、お茶漬けだって、なんでもできるし!
彼らには白米だけってツラいかも、ですが。🤣
さて、最後の方に食べたのはシェフ フィリップの特製料理。
ご飯と一緒に食べたいと言っていたので、炊飯器でご飯を用意。
船が揺れてるのに、皿を並べてナイフとフォークで食べたかったらしいけれど、私たちは疲れでそれどころではないのと、急いで食べられるようにボウルで。
うーーーん。やっぱり航海中は骨つき肉は無理だろう。🍗
決して不味くはないのだけれど、ココナッツミルクが重くて、せっかくのローストしたカシューナッツもふにゃふにゃで潰れる食感に。全く残念。
こんな食事のことばかり書いてますが、本当に人間オートパイロットは大変だったのです。
ハンドルを握る手は手袋をしていても真っ赤だし、疲れて眠いし。
風は相変わらず強いまま。雨も結構降ってきたりして。
時に25ノット(時速45km)の強風が吹いて、ニコラが担当していた時は、37ノット(時速70km)までも出たりして。
フィリップは…どうやら強風になると怖いようで、最後の方は、「25ノットが出ていて心配だ」と訴え、仕方がないので交代したのですが、たったの30分で、風に押されて船がとんでもない方向へ流されていて、本来のルートから4kmも遠ざかっていました。
本当に、やる気がない。😩
最後のひと踏ん張り。
マケモ島を出てから5日後、なんとかコリンヌのフライトの前日にHiva Oa ヒヴァオアへ到着。ホッとしました。
私、腕時計をつけているのですが、タヒチと時差があることに気づきました。
マルキーズの方が東にあるだけあって、タヒチより30分早いのです。
iPhoneだと、自動的にマルキーズ時間になっていましたが、
コリンヌを始め、他の2人もAndroidはタヒチの時間のまま。
一応、指摘したんですけど、受け入れてもらえなくて…。まぁいいや。
コリンヌは、フライト当日にタクシーの予約を入れていたのですが、早めに行ったはずなのに急いで出発して行って…。飛行場でも、ギリギリでゲートが閉まってびっくりだと言ってました。
だーかーらー!30分、時差があるんだから!
人の話は素直に受け入れるものですよ。🤭
次回からはHiva Oa ヒヴァオアの滞在記です。